凧 瑠璃色の五月の空を 気持ち良さそうに泳ぐ 凧 みんなうらやましそうに 下から見上げるけれど 凧は知っている 地上からの 一本の確かな糸が伸びていることを もしも 強い風で糸が切れたなら 糸を持つ手がふと離れたなら もっと空高く もっと遠くの山の上まで 自由に飛んで行けるのに でも 自分だけでは この空に昇ることができない 自分だけでは この空を泳ぐことができない 一本の細い糸の先の意志と 吹き抜ける強い風との 見えない契約になりたっている いまの姿 誘うものも つなぎとめるものも どちらが欠けても 空を泳げない ゆうゆうと のびのびと あこがれのたくさんの視線の先で 凧は くるりと回って少しすねてみた |
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