***  12月の詩  ***

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 海からの贈りもの


波打ち際を歩いていたら
みつけた小さな贈りもの

午後の斜めの日差しに
いま彫ったばかりのように
くっきりと

みがかれた夕陽色の石
洗われて白くかがやく貝がら
どこからやってきたのか胡桃の実

冷たい波と海風にさらされ
どんなに冷たかろうと
ふれた指先から伝わったのは

ずっと受けつがれ流れている
赤い液体のぬくもりに似た
いのちのあたたかさ

胡桃の実の旅した時間よりも
遠く遠くはるかに遠くから
この海は母であり続けていた

波打ち際にたたずみ
海からの贈りものをみていると
母からの贈りものに思えてくる

いつの日にか
海を忘れてしまったとき
こころのポストに届く
ふるさとからのたよりのように

くりかえし
くりかえし
今日も届いた
海からの贈りもの








12月の詩 海からの贈りもの 夕陽色の石

12月の詩 海からの贈りもの 胡桃

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