***  1月の詩  ***

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 だるま


まだ目のはいっていない
陽だまりの匂いのだるま
しずかにあなたの願いを待つ

眠っている張り子は
新しい空間への道しるべ
気持ちをこめて
目に筆をいれると

あのまっさおな空が
宇宙へと続く
大きな道であるように
つややかな目は
だるまの奥へとみちびく

あなたは思い出す
そのあたたかな闇を
生まれてくる前に
ただよっていた胎内を

耳をすませてごらん
呼びかける声
いつもきづかう声
やさしくうたう声
ゆったりひびく声

たしかに見守られ
育てられてゆく
あなたの願い
あなたの祈り

喜びと感謝の知らせが
もうひとつの目から
黒々とにじみだすその日まで

だるまはひっそりと
透明な涙を
流しつづける









1月の詩 だるま

1月の詩 だるま

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