***  6月の詩  ***

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 水無月


寄り添うものは
あまりに
ひそやか

どんなに
くっきりとした輪郭にも
どんなに
鮮やかな色彩にも
隠れ鬼のように
音もなく覗いている

足早に通り過ぎる
毎日の片隅に
たとえ
ふと声なき声を聞いたにしろ
立ち止まることはあるだろうか

もしも
生きていることの
ほんとうの意味が
目の前の刹那を
凝視することならば

真摯という
可愛くもない
癒されることもない
地球と同じ密度をもった
化石の勲章を

その細い首に
しっかりと
かけつづけることに
なんのためらいももつことはない

目を開きはじめたあじさい
小暗くそっと風が抱く
ほら
うしろの正面
だあれ








6月の詩 水無月

6月の詩 水無月

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