***  4月の詩  ***

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 たんぽぽ


足元に貼りついている黄色い花
たんぽぽ
そっと手をのばして
触れてごらん

はじめは風に乗せられた
白い羽についた小さな種が
仮の宿をここにと決められ
雨と太陽に支えられ芽生えて

いまこうして
おとなの力でも引き抜けないほどの
深い深い根の上に
まあるくあかるい花を咲かす

小さいからといっても
かえりみないからといっても
いのちの力は
生きてゆく力は
天に近い大樹とおなじ

ただ生きてゆく
いのちを続けてゆく
雨風と日光を浴びて
黄色の細やかな触手が育ち

娘よ
哀しくなったら
足元の小さな太陽を見るがいい
はるかかなた頭上の太陽は
雲に隠れてしまうことがあるけれど

そっとしゃがんで手に触れる
足元の太陽は
いつでも笑顔でそこにいる
どんな嵐の日でも
嵐の過ぎた黎明でも
漆黒の闇のなかでさえ
しっかりとたしかに
たんぽぽ








4月の詩 たんぽぽ

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