***  11月の詩  ***

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 生き死に


空をイチョウでつつむ
イチョウを空でつつむ
けっして触れあうこともなく
一本の線になることもなく

気配をサザンカでつつむ
サザンカを気配でつつむ
けっして溶けあうこともなく
絡みあうこともなく

どこかで
立ち尽くす必要がある
いつかは
通りすぎるはずの中途で

もうずっと前から
動き続けていることばたち
立ち止まっているように見えて
小さな影は動いている

風をワタシでつつむ
ワタシで風をつつむ
匂いはワタシに笑みを装う
鏡がふっと時間を捨てる

輝きをあなたでつつむ
あなたを輝きでつつむ
そうであったあのころは
しまい忘れた写真は色あせ

なくしたものを
また探す
なくしてもいないものを
また探すふりをする

境界線が消えてゆく
なかったように消えている
生まれたときの約束が
忘れたころに果たされる









11月の詩 生き死に

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