***  2月の詩  ***

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 立春の鬼


繁みから かお
おには そと
ふくは うち

長い髪のすきまから
覆っているベールの裏から
隠しようもない
昨日の赤い目がのぞく
おには そと
ふくは うち

この鬼を外に出したら
困るのはだれだ
この福を内に呼び込んだら
困るのはだれだ
おには そと
ふくは うち

一筋の光のスリット
地から空に伸びる突き刺す
重さのない光のツルギ
ドアを開ける唯一の呪文
溶かす無防備なことのは
おには そと
ふくは うち

頭のなかに浮かんでは消え
支える手は他の手を襲い
指を切って血を流す
だのになんという身軽さ
そうこのつぶやきと同じ
おには そと
ふくは うち

明日は青い目に変わるのか
萎びた皮膚よ艶やかに騙せ
歪んだ鏡
たっ たっ たたっ たっ
おには そと
ふくは うち










2月の詩 立春の鬼

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