***  4月の詩  ***

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 ピンクのステンドグラス


薄いピンクのステンドグラス
空いっぱいにしきつめて
見上げるほおも薄ピンク

よろこびいろやかなしみの
ひとつひとつの種からは
小さな芽が出て伸びてゆき

いつのまにか苔むした
空いっぱいの大樹から
慈しむような贈りもの

鳥の呼ぶこえひびきます
風の手紙がとどきます
雲の涙がつたいます

薄いピンクのステンドグラス
ほんとうはだれかの預けもの
ながいながい預けもの

くるしみひとつできたなら
重くて背負えなくなったなら
大きな洞にそっと置き

いつかちからが湧いたなら
笑って前がむけたなら
きっと取りにまいります

それまでしばし預かって
まだまだ預かり続くもの
ずっと預かりままのもの

季節がめぐり春になり
大きな洞は空っぽに
そのころ青い空のもと

薄いピンクのステンドグラス
空いっぱいに受けいれて
見上げるほおはサクラ色









4月の詩 ピンクのステンドグラス

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