***  6月の詩  ***

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 星の花


朝露にふちどられた この花も
夕闇にふっと浮かぶ あの花も
おなじ あじさいの花

あなたはその不思議さを
いつもまるごと包み込むように
やわらな笑みを浮かべていた

あなたが年を重ねて
いつか幼い迷い子に戻っても
小さな白い顔は咲き続け

日々変わる花の色
積み重ねた時間が
吹く風によって
降る雨によって
思いのままに
時を場所を超えて
あなたをどこにでも連れてゆく

七変化などお手の物
あなたという舞台役者は
何をどう演じるかを
からだの芯までつかんでいた

朝露にふちどられた この花も
夕闇にふっと浮かぶ あの花も
おなじ あじさいの花

あなたはその哀しさを
うけいれながら愛でつづけて
いつかあこがれの花びらになる

だれもが夜の暗闇のなかで
右往左往しているあいだに
あなたは星の道を歩きはじめて

ことばをしまったそのあとに
ちりばめながら還っていくのは
こころにきらめく星の花









6月の詩 星の花

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