***  7月の詩  ***

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 輝くものは


輝くものはなに

雨上がりの朝
新芽の先の虹色の露

今日も蒸し暑いねと
低いトーンうつむく瞳

海の匂いの風にからむ
祭りの太鼓のまだ拙い音

輝くものはなに

綿菓子をほぐした雲
青い空の踊りの広場

さえずりあう鳥の声
通奏低音は路地裏の土鳩

ふっと息を吐き前を見る
ここにしかないひとつの時間

輝くものはなに

一瞬で通り過ぎる思い出
あの時とおなじ白い蝶

手首の脈に似た問いのリズム
夏が色づく文月の紫陽花

祈るより艶やかな葉裏の緑
刻みつづけるめぐる願い

そっと顔を近づけてごらん
耳元に囁かないものはない

ケースに並ぶ高価な宝石より
あなたがいつでも手に触れる

輝くものはなに









7月の詩 輝くものは

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