***  11月の詩  ***

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 約束


生まれたときから
その約束はあったはずだ
ふところのなかに
忍びこませた慈しみのように

それは母から手渡されたもの
それとも長い長い間
ずっと受け継がれてきたもの

柔らかな芽が伸び
しっかりとした樹になって
花を咲かせ実をつける手助け
それがひとつの約束ならば

生まれて成長して
生きてゆくわたしにも
ひとつの約束が眠っている

悩みや迷いの問いと答え
表現するための手段と展開
教えてくれるのはだれ
導いてくれるのはだれ

生きるために
導きとの出会いを確かめる
どこにいるのだろう
どこまで探せばいいのだろう

そのとき思い出してほしい
わたしのなかの約束を
胸に手を当てて聴いてほしい
あらゆる外からの呼びかけを

朝の鳥が 鳴く
眠る蕾が 呼ぶ
水の波紋が 続く
風の軌跡が 歌う

約束の鼓動が
いまのわたしを生かしている









11月の詩 約束

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