***  6月の詩  ***

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 消えるものたち


目の前から消えるものがある
ふっと目を離したすきに
もう消えているものがある
そこにあって当たり前のものが
いつのまにか
何も伝えず消えているものがある

呆然とするほどに喪失感のあるもの
すっと寂しさがよぎるもの
からだのどこかにからみついて
いつまでも潜むクモの巣のようなもの

どいつもこいつも
なくなってからはじめて
取り返すことができないことに気がつく

寄り添っていればよかったのだろうか
大切に手元におけばよかったのだろうか
消えないように守ればよかったのだろうか
記録をとっておけばよかったのだろうか

変わらないものはない
けれどなくなって消えてしまうことが
変わることのひとつだなんて
あとになってからはじめて実感するもの

目の前から消えるものがある
二度と戻らないものがある
けれどそのわずかでも
忘れ物のように託されるものなら
それがわたしといういのちなら









6月の詩 消えるものたち

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