消えるものたち 目の前から消えるものがある ふっと目を離したすきに もう消えているものがある そこにあって当たり前のものが いつのまにか 何も伝えず消えているものがある 呆然とするほどに喪失感のあるもの すっと寂しさがよぎるもの からだのどこかにからみついて いつまでも潜むクモの巣のようなもの どいつもこいつも なくなってからはじめて 取り返すことができないことに気がつく 寄り添っていればよかったのだろうか 大切に手元におけばよかったのだろうか 消えないように守ればよかったのだろうか 記録をとっておけばよかったのだろうか 変わらないものはない けれどなくなって消えてしまうことが 変わることのひとつだなんて あとになってからはじめて実感するもの 目の前から消えるものがある 二度と戻らないものがある けれどそのわずかでも 忘れ物のように託されるものなら それがわたしといういのちなら |
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