***  12月の詩  ***

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 混沌


崩れかけたキカラスウリ
季節の熟成の抱いた
混沌という無数の種

向かいの校舎からは
授業の休み時間なのか
あけ放った窓から声の花火

裏門近くひっそりとアジサイ
花は天然のドライフラワー
梅雨の頃よりも深くやさしい

ふっと思い出す昨夜の夢
断片だけがとびとびに浮かび
浮かんだそばから消えてゆく

いつから嫌いだった灰色
冬の曇り空のような不安
全ての色を混ぜれば灰色なのに

ここにとどまれるか
自分の影を探しに行くことなく
耐える自由を楽しめるのか

ネガティブなものはない
不安ですらやわらかな夢
混沌は出発という名の宝石

だれでも錬金術師になれる
崩れかけた実に溶けて
五感の灰色を黄金色に解けばいい









12月の詩 混沌

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