立春 記章のような白い窓 吸い込まれる先は春の野 少し疲れた足が立ち止まる 香りではない 誘われたのはまばゆさ 降ってくる無数の問いかけのなかの たったひとつの定型 飛んでゆきたくてうずうずしていた はまるための入り口をさがしていた へその奥からうずくもの だれかがこねるように呼んでいる 時間を超えて 順序を超えて 光に縁どられた道標が誘う 右への道は明日への期待で埋められ 左への道は昨日の罪が惑わせる 歩いているのは 止まりかけた独楽たちだけ 川に落ちそうによろけては 窓の下を無表情で通り過ぎてゆく 節分の次の日は立春だから覚えて その声が誰かだけは忘れない さあ窓を開けよう さあ窓を開けよう なくした故郷に忍びこむために |
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