***  10月の詩  ***

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 生まれたところ


入り口は出口
のぞきこんでいるそこに入ると
どこへ続くのだろう

出口は入り口
ほんとうは忘れているだけで
さっき出てきたばかりなのかも

数えきれないほどの道がある
だだっ広い踏み跡もない大地で
どこへゆこうか迷ってしまう

小さな穴があったなら
自分がもぐりこめる穴があったなら
導かれるようにいってみたくなる

秋のまんなかで風が生まれる
秋のまんなかで光が生まれる
自分はどこで生まれたのだろう

入り口と出口
いくつもくぐり続けて
からだはぼろぼろになってしまった

出口と入り口
数えきれないほど躊躇して
こころもぼろぼろになってしまった

でも秋のまんなかは澄みきっている
いのちはきっと
秋のまんなかで生まれたのだろう











10月の詩 生まれたところ

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