いっぱい まっすぐに水仙がほほえみました 鳥のさえずりもこぼれてきました 凍える風は両手の指を赤くしますが かたい木の芽にはみみうちします 小さな子どもの声がはじけています 少し離れて猫が鳴いてついています 家をつくる音を郵便バイクが追います リズムを探す太鼓が危なげに鳴ります 大きな樹にからだをあずけます 見上げると枝だけのすきまに蒼空 首が痛くなって足元を見ます 太い太い根がぶるんと描く弧 胸に飛びこむ光の問いが次々に刺さり はじける答えがひろがってゆきます 伸びをしながら血管が広がりはじめ なにかを受け取ってどくんと打ちます わたしはわたしだけでいっぱいです わたしの生まれ育っている宇宙は わたしの呼吸だけででいっぱいです 昼でも満ち溢れる星でいっぱいです 閉じたまぶたはオレンジの海です ここにわたしの部屋を作りましょう まぶたの窓を開けば旅が再開します わたしだけの道が涙からあふれます |
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