***  4月の詩  ***

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 溶け合う


閉じられた輪郭が崩れ
ふわりと輪郭が溶け
わたしの色がにじみ始める

輪郭がなくなると広がってゆく
広がりながら形がぼやける
わたしはわたしを開放する

空の雲を見上げるとき
想いがわたしを離れるとき
気がつくとあの形は消えている

消えたとずっと思っていた
風に飛ばされ遥か彼方へ
ほんとうはどこに行ったのだろう

溶けだして空になって
溶けだしてわたしになって
どこまでも戯れていたのだろう

輪郭が溶けると表も裏もなくなる
わたしを縛るわたしもなくなる
触れる指はどこまでも伸び透ける

さあ 輪郭を溶かそう
出てゆくものについてゆこう
さあ わたしを溶かそう
入りくるものとひとつになろう









4月の詩 溶け合う

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