***  8月の詩  ***

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 なにもない場所


なにもない場所がある

いまは
なにもない場所がある

少し前までだれかがいたのか
だれかはどこかに行ってしまい
もう戻って来ないのだろうか

なにもない場所には
陽が当たっている
少し前までは陰だったに違いない
なにもない場所には
こうして陽が戻って来る

わたしはもうここを離れよう
わたしの立っていた場所は
なにもない場所になる
なにもない場所は覚えているのか

頭上高く鳥が鳴き旋回している
見上げるとすぐに鳥は消えた
あとにはなにもないない蒼空
でもわたしは知っている

なにもない場所には
なにもなかったわけではないと
なにもない場所に
わたしは確かにいたのだと
わたしが消えた後も









8月の詩 なにもない場所

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